子宮頸がんの原因はセックスだった!?

日本では年間約9800人の女性が子宮頸がんに罹り、2700人が亡くなると報告されています。
不正出血のほかにこれといった症状がないことから、早期発見が遅れることも問題です。
セックスによって感染するヒトパピローマウイルスが、子宮頸がんの原因であることがわかっています。
一口にヒトパピローマウイルスと言っても100を越える種類が存在します。
その中には尖圭コンジローマというやはりセックスによってうつる性病の原因となる6型や11型などの低リスク型と呼ばれるものがある一方、16型と18型に代表される高リスク型のほうは子宮頸がんの発症の原因となり得ます。
高リスク型ヒトパピローマウイルス感染の要因として、妊娠・出産回数が多い人、初めての性交年齢の若い人、性行為の相手が複数の人、喫煙歴のある人などがあげられています。
日本人における子宮頸がんの約7割、20歳代に限ると9割がヒトパピローマウイルスによるものとなっています。
統計では日本の健常な20~25歳女性の約10%が、HPV 16型または18型に感染しており、セックスの経験がある女性の半分以上は一生で一度はウイルスに感染すると言われます。
感染はしても、体には免疫機能があるので、大部分(約90%)の人でウイルスはやがて排除されます。

しかし、残りの10%の人ではウイルス感染が存続し、子宮頚部の細胞に長い時間をかけて異常を起こしていくのです。
性器の粘膜の細胞に取り付いたしたヒトパピローマウイルスは、自分の遺伝子を細胞の染色体に侵入させ、侵入した細胞の分裂を無制限に行わせます。
その結果子宮頸部の細胞に悪性であるがんになる前段階の病変がみられるようになり(高度異形成と呼びます)、そのうちの30~60%は上皮内がんとなり、やがて子宮頸がんにまで進行します。
このように、ウイルスに感染したとしても子宮頸がんまで進む割合は0.15%のみ、つまり1000人のうち2人弱ということがわかっています。
ちなみに上皮内がんや、子宮頸がんのうちでもごく初期の段階で見つける事が出来た場合の治療は子宮そのものの機能を損なうことなく完治でき、その後の妊娠や出産も可能です。
ですからウイルス感染が持続する状態になっていることがわかっても、定期的に(少なくとも3ヶ月に1回)子宮頸部の細胞検査を受けて経過観察することで、早期に見つけられる確率が高くなり、ごく初期の段階での治療が可能となるのです。
高度異形成または上皮内がんの段階での治癒率は90%以上と言われていますので、ウイルスに感染していることがわかっている人では症状がなくても必ず定期受診する事が大切になってきます。

子宮頸がんの治療法はステージごとに異なる

では子宮がんのステージ(病期)について詳しく見ていきましょう。
子宮頸がんはステージIからIVまで分けられています。
ステージIはがんが子宮頸部にとどまっている状態です。
ステージIIになるとがんは子宮頸部を超えて広がっていっているがまだ骨盤には達していない状態です。
ステージIIIになるとがんが膣壁から骨盤にまで及び、尿管などにも達していきます。
ステージIVでは直腸や膀胱まで広がり、さらには遠く離れた肺などにも転移を認めます。
このうち早期とされるのはI期で、5年生存率は90%以上となっています。

治療はステージIまでであれば子宮を全摘出しなくても、子宮頸部を円錐型に切り取る円錐切除で完治できる可能性が高いです。
円錐切除法では、切り取った組織を検査し、治療方針を決めるのに使われるので、検査と治療を兼ねた方法です。
ステージIIでは子宮広汎全摘出術が行われるのが普通で、子宮と同時に周囲のリンパ節および卵巣や膣壁の一部もとります。
手術のみで治療できるのは原則ステージIIまでで、ステージIII以降になると放射線治療、化学療法が主体となります。
最近は治療技術が進んだため、かつては手術できなかったステージIIIでも術前化学療法などを行う事で手術の適用となる例も出てきました。
ステージIVにおいては根治療法は非常に限られてくるため、緩和療法も考慮されます。
子宮頸がん検診では子宮頸部の細胞を擦り取って細胞診が行われ、悪性の細胞があるかどうかを検査します。
2009年より日本でも、このウイルスに対するワクチンが承認されてからは予防接種によってヒトパピローマウイルスに感染することを防げるようになりました。
初めてのセックスの経験の前にワクチンをうつことにより、免疫は生涯持続するだろうと考えられています。
しかしワクチンだけによるがんの予防効果は70~80%程度である為、予防接種に加えて定期的な検診を受けることにより、子宮頸がんに対する予防効果は90%以上になると言われています。